2024/08/24 10:50
こんにちは。
THE MIDFLOW coffee roast オーナー焙煎士の益岡悠介です。
当店のスタッフは、僕を含めて、全員体育会系出身でスポーツ大好き人間が集まっています。
今月はパリ・オリンピックが開催されていたこともあって、
お店を閉めた後は僕の自宅でテレビの前でオリンピック観戦をしたりしてました。
しかも、テレビでは柔道中継を観戦し、インターネットでは水泳を観戦するという熱の入れよう(笑)
当店のお客様にオリンピックに出場されている選手のサポートをしている方がいらっしゃることもあって
勝手に親近感を持って、いつも以上の熱気を帯びたテレビ観戦となりました。
そのお客様は、「大切な日はここの(当店の)コーヒーを飲みたいんだ」とお話してくださって、
わざわざ日本から当店でお買い上げいただいたコーヒー豆をフランス・パリまで持って行ってくださってました。
とても嬉しくて感激したと同時に、オリンピック選手に関わるようなトップクラスの方はやることが違うな、と感銘を受けました。
フランス・パリにだって、きっとおいしいコーヒー屋さんはいくらでもあるはずです。
そんな中で"わざわざ"当店のコーヒー豆を現地まで持参していただいて
滞在しているホテルで"わざわざ"自分のためにコーヒーを淹れるという"こだわり"を徹底されていることに
とても感銘を受けたのです。それがさらに僕が焙煎しているコーヒー豆なわけですから感動もひとしおでした。
最近、こんなふうに"わざわざ"の心地よさや、それを積み上げることの大切さを感じることが多々あります。
街にコーヒー屋さんはいくらでも溢れかえっていますし、コンビニでも100円と少し出せばボタン一個でコーヒーを買えます。
スーパーマーケットにもお湯と混ぜればすぐに出来上がるインスタントコーヒーも所狭しと並んでいます。
気軽に手軽にコーヒーを楽しめるいい時代だと思います。
その一方で、僕は、面倒な手順を何個も踏まなければならない自宅のコーヒーがやはり好きです。
僕はコーヒー屋ですが、僕自身も他店のコーヒー屋さんでコーヒー豆を買うことがたくさんあります。
コーヒー豆と一口に言っても、それぞれのお店の焙煎の仕方で、同じ豆であっても味わいはまったく変わるし
僕自身が取り扱っていない国々のコーヒー豆もたくさんあるので、仕事でコーヒーとたくさん触れ合っていながら
プライベートでもコーヒー漬けだったりするんです。
そのコーヒーを選びにお店に"わざわざ"足を運ぶのも楽しいし、
遠方のコーヒー屋さんであればそのお店のオンラインショップを"わざわざ"見てみるのも楽しい。
そして自宅にやってきたコーヒー豆を、そのパッケージから、豆の香りから楽しみ、
挽いて粉にした時の香りや、お湯をじっくり注いでいくときにフワッと湧き上がる香りに酔いしれたりと
幸せになれる時間が、面倒な手順の踏む時間の中にたくさんあるんです。
もちろんゆっくり時間をかけてそれを飲む時間は至福な時間です。
コスパ、タイパという単語が持て囃され"無駄"を徹底的に排除しようとする現代社会において
僕は大切なことまで排除しようとしていないか?と心配になるときがあります。
何のためにお金を節約し、何のために時間を節約するのでしょう?
コーヒーを飲みながらそんなことを思う時、もちろんお金と時間のたいせつさは理解をした上で、
必要以上にお金を貯め込む必要もないし、必要以上に急ぐ必要もないんだ、とスッと腑に落ちて感じる時があります。
ギスギスした時代の雰囲気は、「余白」「余裕」のなさ元凶の元だと感じます。
本当に必要なもので、無思考に無駄として排除してしまった、あるいは排除しようとすることで
まさに"遊びのない"時間がそうさせてしまっていると思うのです。
だからこそ、僕は、コーヒー焙煎士として
「たかがコーヒー、されどコーヒー」と思って、そこを大切にしたいと思うし、
それを大切にしたいと思われる方達のために誠心誠意、心をこめてコーヒーをご提供したいと思うのです。